この記事は、大学受験のためにAnkiが使えることの紹介と、Ankiというプログラムを私が大学受験でどのように利用したかについて書いています。Ankiを使った学習法を考えている人や大学受験生の方は、ぜひ参考にしてください。
(そもそも)Ankiとは何か
Ankiとは、暗記のためのオープンソースプロジェクトで、テキストや画像・音声などを含んだ暗記カードを使って学習し、そのカードの難易や覚え具合を考慮した復習感覚で学習できるものです。
たとえば、簡単なカードは復習間隔を長くとって、難しいカードは頻繁に復習するようにできています。これによって、従来の紙の単語カードよりも効率よく学習ができるわけです。
他にも、他の人がつくって共有しているデッキ(≒単語帳)を使うこともできるため、単語帳を作成する手間も省けたりします。
そんなAnkiは、ブラウザがあればAnkiwebから利用でき、Windows/Mac用のAnkiクライアント(無料)や iOS用のAnkiMobile(有料)
itunes.apple.com、Anki開発元とは別のグループが作ったAnkiDroid(無料)(
)からも利用できます。
実際にやった大学受験でのAnki活用方法
そんなAnkiを私が大学受験の際に使っていた方法について紹介します。
古文
大学受験の古文では同じ日本語ということもあり、多くの古語の用法を正確に覚える必要があります。 特に東大などでは現代語訳では直訳が原則なため、そもそも知らない古語をフィーリングで訳してもなかなか*1点数は望めません。
そのため、古文単語を暗記するためにFormula600のデータを利用したデッキ( https://ankiweb.net/shared/info/1606022557
)を使っていました。Formula600は一つ一つの語彙の説明が他の単語帳よりもあっさりしているので覚えにくいという評価もあるのですが、Ankiを使うことでこの単語帳の音声データと、収録語数が多いという利点を活かすことができます。周りが300語程度の単語帳をボロボロにしているなか、スマホポチポチしながら600語を効率的に覚えて卓越しましょう。
(実際にAnkiで古文を学習しているときの様子)
漢文
漢文は古文ほどではないですが、暗記要素があるためデッキを作っていました。(が、作り始めた時期が遅かったため、たいした量は暗記できませんでした)
また漢文は縦書きかつ読み仮名に送り仮名に再読文字や訓点返点などをつけたカードを作る必要があり、デッキ作成にかなり苦労しました。 なんとか GitHub - untunt/kanbunHTML: A kanbun-kundoku (漢文訓読) HTML display solution
を利用したりCSSを頑張って書くことなどによって「漢文のカード」と言えるレベルのものができました。
カードの量は到底受験漢文の範囲を覆うほどではありませんが、そもそも漢文の書き下しや送り仮名が使える状態のカードを作るだけでも大変だと思うので共有デッキとして公開しています。
https://ankiweb.net/shared/info/2133077766?cb=1709194111910
ドイツ語
私はドイツ語の学習のために使っていましたが、この情報は英語など他の言語のためにも役立つと思います。
受験のためにドイツ語を学んでいてある程度のレベルまでに達すると、自分のレベルに適した単語帳がなくなるので、知らない語彙を見つけるたびに覚えることが重要になってくるのですが、紙の単語帳では限界*2を感じたために自分でデッキを作っていました。(これと古文単語を正確に覚えたかったというのが私がAnkiを使い始めた理由です)
このデッキのカードは画像のような構成で、
1つの語彙に1つのノートを、その語彙の意味ごとにカード*3を作る用に設定して、 派生語フィールドには名詞ならその性と複数形を、動詞なら不定形・過去形・過去分詞を書いて、派生語フィールドのカード、1つ目の意味のカード、2つ目の意味のカード, ... と作られるようにしていました。
文字で説明するのは難しいですが、画像みたいに一つのノートから色々なカードができるようにしていた、ということです。
たとえば、上のleistenという語のノートだったら、派生語をおぼえるためのカード、
、能力がある、という意味を覚えるためのカード
...のようになるわけです。
(参考)私が使っていたカードテンプレート
意味ごとにカードを分けることで、多義語の学習のときに「たしかein|stellenという語には6つ意味があって、えーと、雇い入れる、収納する、あとなんだっけ……」のようなあまり本質的ではない思考の時間ができてしまいますし、1つのカードを回すのにかかる時間が増えてしまいます。(たぶんAnkiは長くても1カード10秒程度で周回できるのがいいくらい)
そのために、このように意味ごとにカードを分けていました。意味ごとにカードを分ける設定は、 note.com
を参考にしました。このサイトと、上の例の画像や折りたたみを参考にすれば同じように1ノートから意味ごとにカードを複数作ることができると思います。
理科(地学)
大学受験地学では、参考書や問題集が片手で数えるほどしかないぶん、教科書の記述がとても重要で、教科書の内容を正確に覚えることが重要な科目です。 そのため、私は地学の教科書の記述や図表の穴埋めを問うカードを使っていました。(リンク: https://ankiweb.net/shared/info/1353320832?cb=1709209161298
)
Ankiを大学受験で使うときのメリット
Ankiを使った学習と紙製のカードや従来の単語帳を使ったときを比べると、以下のようなメリットがあります。
効率的に復習ができる
→ プログラムでカードの難易も考慮して自動的に復習スケジュールが管理されているので、ただ紙で周回している場合よりも効率的に学習ができます。
順番で覚えてしまうことがない
→ 上の理由と同じく、カードが出る順番も固定ではないため、紙で勉強しているときにありがちな順番で覚えてしまう現象もありません。
紙以上に色々なフォーマットを使える(音声・動画・URL・長文など)
→とくに外国語の学習では発音の音声を載せられて便利です。
持ち運びが利く
→紙の単語帳とは違って、本体はデータなので、PCやスマホさえあればどこでも学習ができます。
統計を確認してモチベにつなげられる
→ 画像のように、今までの学習時間の合計などの統計が簡単にチェックできるので、過去の自分の努力に恍惚できて気持ちがいいです。
CSVデータをデッキにインポートできる
→CSVやテキスト形式のデッキをインポートすることができるので、既存のデータを流用したり、覚えるべき大量のことをプログラムで生成した後にデッキにするときに楽ができます。
Ankiを大学受験で使うときのデメリット
逆に、デメリットとしては
紙以上に凝ったカードを作れるので、カード作成に時間をかけすぎてしまうことがある
→私は漢文のAnkiカードで書き下しができるようにしたり、漢文が中央揃えになるようにしたりするのにおそらく合計で10時間は使いました😅
Ankiを使いこなすのがすこし難しい
→共有デッキをただ使うだけの場合には問題にならないかもしれませんが、自分でデッキをつくろうとしたり、復習スケジュールの設定を変えようとするときには、Ankiのカードは学習の際にどのように扱われるのかの理解が必要です。
PCがないと不便
→スマホのアプリもありますが、おそらくカードの作成や管理はPCの方が楽です。
電子機器が必要なので、他の勉強の集中を邪魔するかもしれない
→勉強のために電子機器を遠ざけている人にとっては、これは大きいかもしれません。
さいごに
Ankiを使った受験は、紙を使った勉強などと一緒で、新しく学ぶことを増やすよりも復習を徹底することが大事ですし、継続が何よりも一番大事です! 頑張って!